タイミング投資は皆が思っているほど簡単ではないというデータ

水瀬ケンイチ

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モーニングスターに「高値づかみの安値売り」を避けるファンドの買い方についての情報が掲載されています。



「高値づかみの安値売り」を避けるファンドの買い方とは?

資産形成を始めようと考えた時に、「何を買う」のかも重要だが、「いつ買うか」という投資のタイミングも重要だ。


詳しくは上記記事と動画を見ていただきたいのですが、無理やりまとめると、ファンドのインベスターリターンを良くする効果が期待できるのは積立投資とのこと。

ファンドのリターン(トータルリターン)はバイ&ホールドし続けた場合のリターンですが、ファンドの投資家が実際に得たリターンのことをインベスターリターンといいます。

インベスターリターンは、投資家が実際に得たリターンが売買のタイミングによって異なることを反映し、ファンドに資金が流入した時期の比重を高く、資産が流出した時期の比重を低くして算出しています。ファンドでタイミング投資をした人たちの影響を加味したリターンともいえます。

上記記事では、過去5年間のトータルリターンが上位10本のファンドの9月末現在のトータルリターンとインベスターリターンを比較すると、10本中で8本はインベスターリターンがトータルリターンに劣後していることが指摘されています。

要するに、多くのファンドにおいて、投資家はバイ&ホールドしておけばいいのに、余計なタイミングで売ったり買ったり出入りするため、実際に得られるはずのファンドのリターンを得らていないということになります。

以前、当ブログでも「下手くそタイミング投資家がファンドのインベスターリターンを押し下げる」という記事を書いたところ、けっこう好評で読まれていましたが、同様のことがモーニングスターでも指摘されています。

モーニングスターでは、ちょうど10年前の2010年11月から、投信のトータルリターンだけでなく、インベスターリターンも公開してくれています(当時の該当ブログ記事)。

様々なファンドのインベスターリターンのデータが積み上がってきて、投資家の行動がリターンに与える影響がずいぶん可視化されてきました。

いくつかの人気ファンドのインベスターリターンを見てみましょう。

ひふみ投信の場合

eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)の場合

eMAXIS Slim先進国株式インデックスの場合

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの場合

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の場合


ひふみ投信の場合は、インベスターリターンがトータルリターンよりも低く、平均的には2/3くらいのリターンしか得られていないことがわかります。

これは、うまくないタイミング投資家が、基準価額が高い時に押し寄せたくさんの口数を買い、基準価額が低くなると買わないか売却してしまう影響があったのだと考えられます。

人気ファンドの宿命なのか、多くの人気ファンドで同様の傾向が見られます。上記記事の言葉を借りれば、「感情のままに行動する人ほど、高値づかみをしがち」ということかもしれません。

対して、eMAXIS Slimシリーズの場合は、インベスターリターンがトータルリターンよりも逆に高くなっています。

これは、つみたてNISAなどの積立投資家が、定時定額で買うことで自動的に、ファンドの基準価額が高い時には少ない口数しか買わず、基準価額が低い時には多くの口数を買っている影響があったのだと考えられます。

もし、これらのファンドがバイ&ホールドされ、新たな資金の流出入がなかったとしたら、インベスターリターンとトータルリターンはほぼ同じになっていたはず。ファンドの買い方によって、インベスターリターンはファンドのトータルリターンより良くも悪くもなります。

もちろん、タイミング投資がうまいかたも、中にはいらっしゃると思いますので、そういうかたはどんどんタイミング投資で儲けていただければ良いと思います。

しかし、高成績のファンドや人気のファンドにおいて、投資家のうまくないタイミング投資によるインベスターリターンの低下が現にデータに表れています。

タイミング投資は皆が思っているほど簡単ではないと認識したうえで、各人が気をつけて投資をしたいところです。


「下手くそタイミング投資家」がファンドのインベスターリターンを押し下げる

当ブログでは主にインデックスファンド・ETFの積み立て投資(バイ&ホールド)について書いていますが、タイミングを見て安い時に買って高い時に売ってリターンを得ようとする「タイミング投資」も、投資法としてはあります。しかし、タイミング投資は、世の中で思われているよりも実際ははるかに難しいというお話です。...


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Posted by水瀬ケンイチ