投資本の選び方の注意点、拙著の場合は?
水瀬ケンイチ
ANA Financial Journal の記事「投資初心者におすすめの本10選。学びのポイントと注意点を解説」で、拙著「お金は寝かせて増やしなさい」(水瀬ケンイチ著)が紹介されました。
投資初心者におすすめの本10選。学びのポイントと注意点を解説
投資についての情報ソースは、新聞・雑誌やインターネットなど、どんどん多様化しており、今や投資初心者でもリアルタイムで情報入手できるようになっています。反面、根本となる理論や考え方を身につけるには、即時性の高いメディアだけでは十分とはいえません。
2020年11月にAmazonの「マネー・投資」売れ筋ランキング上位に表示された本から、10冊を選んだとのことです。拙著も選んでいただき光栄です。
記事のなかで、投資本の選び方の注意点も書かれています。
(1) 「投資本」はどのような立場から書かれているか
(2) 成功者には「生存者バイアス」がかかっている
(3) 「賞味期限切れ」に注意
いずれもまっとうな話だと思います。特にトレード系の本の場合、著者の言うことには(2)の生存者バイアスがかかっている可能性を念頭に置きながら読む必要があると私も思います。いわゆる「ジャンケン大会の優勝者に必勝法を聞く」ようなことになっていないかということです。
上記3点の注意点について、拙著「お金は寝かせて増やしなさい」の場合はどうなのかを考えてみました。
(1)の著者の立場については、拙著の場合は明確で、インデックス投資黎明期から実践してきた個人投資家です。金融機関とのしがらみがなく、読者との間に利益相反がないことが売りでしょうか。
一方で、金融のプロではない普通の会社員ですので、権威や信頼性は弱いと思います。できるだけ客観的なデータや調査結果の裏付けをもとに拙著を執筆しましたが、そこはプロにはかなわないところでしょう。
(2)の生存者バイアスについは、拙著も生存者バイアスが当てはまってしまうと思います。インデックス投資は、初心者でもプロでも誰がやっても同じパフォーマンスになるという極めて高い再現性がある投資法ですが、継続できるかどうかとなると話は別です。
途中でやめてしまったり、別の投資法に乗り換えてしまう方々もたくさんいます。特に、2008年リーマンショックの際には多くのインデックス投資家がやめてしまいました。相互リンクブログをウォッチしていた体感では、ざっと半数くらいになってしまった印象です。
拙著ではインデックス投資を継続するためのしくみやコツを、これでもかというほどふんだんに盛り込んでいますが、それでも、暴落を生き残った私みたいなのが言うことには生存者バイアスがかかっているということは、読者の方々は念頭に置いていただいた方がよいと思います。
(3)の「賞味期限切れ」については、拙著の内容の本質的な部分はなにも陳腐化していないと信じています。長期・分散・低コストという投資の原則は、いつの世でも変わりません。
唯一、おすすめインデックスファンドの具体的銘柄のデータが、運用コストが引き下げになったり、より低コストな新商品が出てきたりと(良い方向に)変化していますが、そこはブログで定期的に情報をアップデートしています。
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記) 低コストインデックスファンド徹底比較カテゴリ
低コストインデックスファンドの徹底比較記事のカテゴリです。3か月ごとに更新中!
以上、ANA Financial Journal の記事で紹介されていた投資本の選び方の注意点について、拙著「お金は寝かせて増やしなさい」の場合どうなのかを考えてみました。
最後に、くり返しになりますが「投資初心者におすすめの本10選」に選んでいただき、ありがとうございました。
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