まとまった資金がある場合、一括投資か分割投資のどちらがよいのか?

水瀬ケンイチ

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まとまった資金がある場合は、一括投資か分割投資(ドルコスト平均法)のどちらがよいのか?

ブログにご質問をいただきました。拙著「お金は寝かせて増やしなさい」の読者さまからよくいただくご質問で、最近また増えてきたので、ブログにて私なりの回答をします。

送信者:Aさん(水瀬注: お名前をAさんと書き替えさせていただきました)
件名:一括購入と積立購入について

はじめまして。
突然のメール失礼いたします。
昨年12月末に近所の書店で、著書『お金は寝かせて増やしなさい』を発見し、これは良いと即購入させていただきました。
本を拝読させていただきまして、良ろしければアドバイスを頂けますと助かります。

すぐに毎月5万円程度積み立てを始めようと準備しています。
それと別に手元に近々使う予定の無いまとまったお金が500万円程度あります。
このお金については初めに一括して購入に回した方が、複利効果を考えると良いのだろうかと思っていまが、如何でしょうか?

あくまで自己責任なので自分で考えて決めなければならない事は理解していますが、水瀬様だったらどうされるだろうと思い、思い切ってメールさせていただきました。
お忙しい中誠に申し訳ありません。
是非よろしくお願いいたします。


Aさんへ

こんにちは、ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」管理人の水瀬ケンイチです。いただいたご質問メールに以下のとおりご回答いたします。

ご質問の内容は、まとまった資金がある場合に一括投資が有利か、分割投資が有利か、ということかと思います。過去にブログ記事で、本件についての私の考えをまとめたことがありますので、ご案内します。

「一括投資かドルコスト平均法か」という古くて新しい問題を、わかりやすく図解してみた

最近、「ドルコスト平均法 vs 一括投資」の議論が、ツイッターや2chで再燃しているようです。これは古くて新しい議論で、昔から何度も議論の俎上にあがっては消えていく「神学論争」の一種だと思います。議論を横目で見ながら考えていましたが、議論がなかなかかみ合わないのは、参加者たちの「前提条件」が揃ってないにもかかわらず、自説を押し通そうとする人が多いからだと思うんですよね。この古くて新しい議論の結論を、一発...


本ブログ記事でも、あらためて抜粋&加筆してお伝えしたいと思います。まずはこの図解をご覧ください。

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「ドルコスト平均法 vs 一括投資」は定期的にわきおこる定番論争のひとつです。この論争がいつまでも終わらないのは、参加者たちの「前提条件」が揃ってないにもかかわらず、自説を押し通そうとする人が多いからだと思います。

前提条件①として、現在、まとまったお金がある人(一部のお金持ちや相続や退職金など)とない人(毎月の給料のなかから投資資金を捻出するしかない人)という違いがあります。ない人は、必然的に「ドルコスト平均法」が最も合理的な投資戦略になると思います。(ちなみに、私もここに属します)

まとまったお金がある人は、次の前提②として、投資判断能力として、自分は「投資タイミングが分かる」かどうかが問われます。

投資タイミングが分かっていない人は、「今すぐ一括投資」が最も合理的な投資戦略になると思います。投資資金を遊ばせておく「機会損失」が最も小さくなるからです。

ここで、まとまったお金があるけれどドルコスト平均法がいいんじゃないかと考える人たちが、「一括投資の直後に相場が暴落したらどうするんだ?」などと言ってゴネる姿をよく見かけます。でも、その人はドルコスト平均法がよいかもしれないと思う程度には「投資タイミングが分からない」という前提の人なので、必然的に機会損失が最も小さい一括投資するのが合理的となります。

まとまった金額があるのに分割して投資することを私は否定しません。まとまった金額を目をつぶって一括投資することにまったく抵抗がない人などいないと思います。何回かに分けて投資したくなるのが人情ってやつです。

ただ、それは「気持ち」の問題であり、必ずしも合理的な判断ではないと知ったうえで、あえて自分は選択しているのだという理解は必要だと思います。他人に「これが有利だ」と強弁するのは違うと思います。

さて、「まとまったお金があり」、かつ、「自分は投資タイミングが分かる」という類まれな人は、「タイミングを図って一括投資」が最も合理的な投資戦略になると思います。こういう稀有な人たちは、そもそも「一括投資かドルコスト平均法か」などという議論には参加せず、粛々と儲けているように思います。

ただし、「投資タイミングが分かる」というのが実はクセモノです。「分かるつもりになっているだけ」というケースが相当数あるはずです。

当然、タイミング投資により、儲かることもあれば損することもあるでしょう。でもそれが、ドルコスト平均法で積み立ててきた人の実績、すぐに一括投資してバイ&ホールドをしてきた人の実績との比較において、上回ったのかどうかは後になってみないとわからないし、わざわざ比較する人もほとんどいないのではないでしょうか。

仮に、上回ったとしても、それが本当に「実力」なのか、たまたま儲かった「幸運」に過ぎなかったのかを判別するのは極めて難しい。本当に実力という方もなかにはいると思いますが、大半は幸運にすぎないのではないでしょうか。

なぜなら、プロが運用するアクティブファンド(銘柄選択と売買タイミングで市場平均を上回ることを目指す)の6~7割が、バイ&ホールドのインデックス(市場平均)を上回れないという調査結果が古今東西で出ているからです。

上記図解の、「<結論>最も合理的な投資戦略」は、上は大多数のサラリーマンで、下に行けば行くほどニッチに(該当者が少なく)なるイメージです。

個人投資家にはいろいろな前提条件の人がいますので、それぞれにおいて、事前に考えられうる最も合理的な投資戦略は違うということになると考えています。Aさんの前提条件はどうでしょうか。考えてみてください。

最後に、「最も合理的な投資戦略」というのは「最も儲かる投資戦略」という意味ではなく、不確実な未来に対して現時点の情報をもとに考えられうる最も筋の通った方法という意味であることを付記させていただきます。

今後のAさんの運用がうまくいかれますよう祈念しております。



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Posted by水瀬ケンイチ