株価が堅調なときこそ、リスクを取り過ぎていないか確認を

水瀬ケンイチ

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日本経済新聞 電子版に「株高値圏、運用資産を点検 分散重視でリスク抑える」という記事が掲載されています。

昨今の株高で、「米国株すげえ!!」「○○最強!!」(○○はVOOやQQQ等の商品名)といって興奮状態にある人はよく読んでほしいと思います。

株高値圏、運用資産を点検 分散重視でリスク抑える

日経平均株価が約30年半ぶりの高値圏で推移するなど国内外の株式相場が上昇基調を強めている。長期で資産形成をする個人のなかでも株高の恩恵を受けている人は少なくないだろう。ただし過去を振り返ると、株式市場は大きな危機を何度か経験してきた。リスクを取り過ぎていないか運用資産を点検し、相場が今後大幅な調整局面を迎えても投資を続けられるようにしておきたい。「ずいぶん増えた


詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、無理やりまとめると、今後大幅な調整局面を迎えても投資を続けられるように、リスクを取り過ぎていないか、しっかり分散した資産配分になっているか確認しようという内容だと理解しました。

記事では、足もとの株式市場が好調でも、歴史をふりかえればブラックマンデー、ITバブル崩壊、リーマンショック、チャイナショック、コロナショックなど数年~十数年に1度は大幅調整が起こっていることが紹介されています。

また、分散投資の有効性として、国内外の株式・債券の相関係数表の最新版のデータが掲載されていました。



思い起こせば、2008年リーマン・ショック直後の頃、「世界中の資産の相関が高まり、もはや分散投資の意味はない」とよく言われていました。たしかに、当時の国内外の株式・債券の相関係数は+1に近づいたり、あるいは負の相関が正の相関に変わったりしていました。「分散投資は死んだ」などと言われたものです。

しかし、当時から私は「相関係数は一定ではなく可変で動き回るもの」「すべての資産間の相関係数が+1でなければ分散効果はある」と主張してきました。

<ご参考>
2009/11/23 相関係数の誤解 - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

上記日経記事の相関係数表は2020年12月までの最新版で、国内株式と外国株式の相関が0.47と非常に弱い相関、国内株式と国内債券は-0.02とほぼ無関係、国内株式と外国債券は0.12とほぼ無関係となっています。計算上、分散効果が大いに期待できる数値です。

さて、冒頭の興奮状態にある人たちは、上がっている国や企業の株式に集中投資したくなっているかもしれません。でも、株価の動きに正規分布が概ね当てはまるとするならば、急騰した資産は、いつ同程度急落してもおかしくありません。

上記日経記事では、「2007年に起きた米国発世界金融危機で株式のみに投資していた場合は高値からの最大下落率が59%に達した」とありました。個人的には、単一国の株式100%の資産配分の場合、期待リターン(約5%)とリスク(約22%)から計算して、1年で(全投資期間を通してではなく「1年」で)最大40%程度の下落はありえると計算した目安をもって見ています。

その急落に自分が耐えられるかどうか、自分のリスク許容度の範囲内におさまる資産配分になっているのか。株価が堅調なときこそ、確認しておきたい。せっかく分散効果が高まっているのだからなおさらです。

リスクを取りすぎている場合、資産配分の株式比率を下げ債券比率を上げる、または、投資金額自体を減らす等をすれば、資産全体のリスクを下げることができます。株高で含み益が出ていれば利益を確定する形にもなり、それほど嫌なものでもないでしょう。

このような情報は、株高の熱狂に水を差す形になるので多くの人からけむたがられ、すぐに喧騒にかき消されてしまうのでしょう。ただ、リーマンショックの大暴落の後、「リスク許容度は厳し目に見積もるべきだった」という反省を持つ人間として、届く人だけ届いてくれればそれでいいと思いこのブログ記事を書いています。

ご武運を。


P.S
なお、相関係数は今後も変動するので、今後また相関が高まれば分散効果も減少します。しかし、くり返しになりますが、すべての資産間の相関係数が+1でない限り分散効果はゼロにはなりません。

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Posted by水瀬ケンイチ