週刊ダイヤモンド2月17日号のETF市場に関する記事について

水瀬ケンイチ

rennyさんの記事にあった週刊ダイヤモンド2月17日号を、読みたくて仕方がなかったのですが、やっと読むことができました。

巻頭のClose Upコーナーで、「海外に大きく出遅れたETF市場 挽回狙う大証「新ETF」の成否」という記事が組まれていました。
内容を自分なりにまとめると、

・日本のETF市場は海外に出遅れており、著しくバリエーションに乏しい。
・その理由は、日本固有の制度的事情。バブル崩壊後の持ち合い解消の受け皿として、政策的に設けられた「現物拠出型」(=国内指数しか認められていない)が一般化したこと。
・大証は「金銭信託型」を採用することで、ETFの種類を増やそうとしている。東証も追随する可能性が高い。
・これまで上場廃止になったETFが5本もある。ETF改革の成否は、流動性の確保にかかっている。
・個人投資家のニーズは、見方が分かれている。楽天証券は、海外ETFの認知度は低いという。「ETFは持ち合い解消の受け皿としてスタートしたため、イメージは良くない」。一方、野村證券は、「顧客からの問い合わせが増えている」という。
・機関投資家のニーズも、見方が分かれている。年金などが金や原油などに投資可能になる。だが、金銭信託型のETFは、現物拠出型に比べて余計にコストがかかってしまう。
・流動性確保のためには、取引所間で使いやすさを競い合い、新しいETFを“育て上げる”ことである。

という感じです。

ダイヤモンド記事の主張には、概ね賛成です。
「概ね」とか言うからには、賛成していない部分もあるのか?と言われそうですが、そのとおりです。
それは……


各種ETF上場後の流動性確保のためには、取引所の競争も大切であるが、我々個人投資家のETFへの理解こそが、最も大切であると思うからです。

まず第一に、「取引所間で使いやすさを競い合う」というのは、耳ざわりは良いのですが、具体的に、何を競い合うのかがわかりません。
例えば、現在、日経225連動型のETFは、東証に、上場インデックスファンド225・iシェアーズ日経225が、大証に、日経225連動型上場投資信託・ダイワ上場投信-日経225が、それぞれ上場されています。
しかしながら、各ETFにおいて、上場取引所の違いによる、使いやすさの違いはないと言ってよいかと思います。

第二に、機関投資家と個人投資家のいずれのニーズも見方が割れていると指摘されていますが、そのシェアから言って、同列で考えてはいけないと思います。
投資部門別売買シェアを見ると、個人投資家30.9%、機関投資家10.8%、外国人54.8%(2007年1月29日~2月2日)となっています。
いまや、個人投資家は、機関投資家の3倍近くのシェアがあるからです。

※本記事における機関投資家の定義は、東証による投資部門のうち投資信託、生・損保、都銀・地銀等、信託銀行、その他金融の合計とした。投資部門別売買状況によると、個人、外国人、機関投資家の3部門で委託注文の96.5%がカバーされる。

第三に、その個人投資家が、日本固有の制度的事情、つまり「ETFがバブル崩壊後の持ち合い解消の受け皿であったこと」や、「現物拠出型ETFか、金銭信託型ETFか」について、気にしているとは到底思えません。
(あなたは、普段そんなこと気にしてますか?)
むしろ、日本固有の事情とは、金融機関が高い手数料を乗っけたボッタクリ金融商品ばかり販売してきたという、悲しい歴史のことではないかと邪推してしまいます。

以上のことから、各種ETF上場後の流動性確保のためには、我々個人投資家の理解こそが、最も大切であると思うのです。
もちろん、取引所にも頑張ってもらわなければいけないと思いますし、機関投資家の利便性にも配慮する必要はあるとは思います。
しかしながら、我々個人投資家のニーズなくして、各種ETF上場後の流動性確保などありえないのではないかと思うわけであります。

今後、海外ETFや金ETF、商品ETFなどが上場されてくることが予想されています。
ETFは、格安のコストで分散投資ができ、かつ、それをリアルタイムに売買することもできます。
インデックス投資家のみならず、すべての個人投資家にとって、一考の価値がある優れた投資商品だと思います。
ぜひ、一度ご検討してみてください。
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Posted by水瀬ケンイチ