日本の個人投資家にとっての長期投資は何年か?がわかるレポート

水瀬ケンイチ

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ニッセイ基礎研究所に「長期投資って何年間?-資産・投資期間ごとの元本毀損確率」という興味深いデータが掲載されていました。

「長期投資」って何年間?-資産・投資期間ごとの元本毀損確率

内外株式などの資産ごとに、元本を毀損する確率が投資期間によりどう変わるか、過去のデータから検証した。その結果、グローバル株式で元本毀損を避けるには20年程度の投資期間が必要である一方、定期預金では20年でも実質価値...


詳しくは上記レポートをご覧いただきたいのですが、ざっくりまとめると以下のとおり。

  1. 株式投資において名目・実質の元本毀損を避けたいのなら少なくとも20年程度の運用期間を想定する必要がある
  2. 国内株・外国株・4資産ポートフォリオの比較が示すように、日本株だけの投資よりグローバル株式や複数の資産クラスへの分散投資の方が損失の確率が小さくなる
  3. 定期預金(元本確保型)でも、20年までの投資期間では物価を考慮した実質元本が毀損される可能性を無視できない


長期分散投資の有用性を表すデータは、米国での研究が進んでいて日本での研究データがあまり見つかりません。上記のレポートは、A.日本株100%、B.外国株100%、C.内外債券株式4資産等配分ポートフォリオ、D.定期預金の4つの資産クラスについて、投資期間は1年、10年、20年、30年、さらに毎月一定額を20年間積立てたケースで元本割れの確率を名目リターン・実質リターンの両面から調べたもので、日本人の長期分散投資にかなり寄せて調査した有用なデータだと思います。

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「長期投資」って何年間?-資産・投資期間ごとの元本毀損確率 |ニッセイ基礎研究所より引用)


特に、上記の図表は、「少なくとも20年以上が長期投資」で、「定期預金でも実質的に元本割れする可能性がある」ということがわかる永久保存モノの有用データだと思います。日本の個人投資家の長期分散投資に役立つ調査データです。

また、レポートには書かれてませんが、図表のデータから読み取れることがあります。「一括投資20年と積み立て投資20年では、積み立て投資の元本毀損割合が高い」ことです。分散効果を「リターンをあまり下げることなくリスクを効率的に下げる効果」ではなく、単に「マイナスにならない効果」だと勘違いしている人にとっては、意外かもしれません。

積み立て投資は一括投資と比べて投資金額自体がゆっくりと増えていき、リスクはゆっくりと増えていくので、値動きのブレ幅が抑えられる。ここまではよくある投資本にも書いてあること。

このレポートのデータは、一歩進んで、リスクがゆっくりと増えていくということは期待リターンもゆっくりとしか増えないことになるから、「元本割れの確率」はゆっくりとしか下がっていかないということも示しています。一方で、一括投資は投資タイミングの運・不運の影響を強く受けるものの、背負うリスクを一気に高め、同時に期待リターンも一気に高めることができるため、長期投資により元本割れする確率が低くなる。これがレポートのデータが明確化してくれた積み立て投資の(人によっては意外な)一面だと思います。

まあ、レポート全体を通じて、「30年間のデータといってもほとんどが重なり合っており、独立した期間ではない」という批判も出てくるかもしれません。しかし、実際問題として、長期的なデータ自体が乏しい日本において、完璧性を求めるにはまだ時期尚早。このデータを今後延長していき、10年後、20年後、30年後にまた検証されるような土壌を投資家のなかに築いておくことが大切だと思います。


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