GPIFの分散投資の投稿「卵をひとつのかごに盛るな」についた「かごを分けても同じ船に乗せれば一緒に沈むよ」というコメントに対する考察

水瀬ケンイチ

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GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の分散投資の説明。有名な「卵をひとつのかごに盛るな」ですね。


性質や値動きの異なる複数の資産に分散して運用することにより、安定的な運用成果を目指せるという分散投資の有用性を説明する王道の投資格言です。この王道的な投稿に、「かごを分けても、同じ船に乗せれば一緒に沈むよ」という辛辣なコメントが付いていました。

それを見て、一瞬「なるほど」と思いつつ、「この人はその船に乗っていないカモメさんか何かなのかな?」と思いました。賢いかたは「カモメちゃうわい!!」と思うかもしれませんが、「長期・分散・低コスト」という投資の王道を批判する連中は、自分だけはその外の安全地帯にいるという前提を暗に置いていることが多いのが滑稽だなと思うのです。

日本国民であれば、誰でも人生の終盤では公的年金のお世話になります。その一部を担うGPIFの運用を「かごを分けても、同じ船に乗せれば一緒に沈むよ」などと上から目線で批判して悦に入ったところで、その人も一緒に沈むことに思いが至っていない。株式・債券の大暴落から自分だけ無関係でいられるような安全地帯などないと知るべきです。

たとえ、株式・債券に投資していなかったとしても、株式会社に勤務していれば、仕事の影響は回避できないでしょう。売上が低迷すれば減給やリストラになるかもしれません。「賢い自分」だけはその災難から逃れられるかのような妄想を抱いていても、結局、世界経済と無関係な動物さんや鳥さんや地球外生命体の異星人さんでもない限り、大なり小なり船の沈没に巻き込まれて一緒に沈むことになり、影響からは逃れられません。

投資に限らず、人生のあらゆるリスクはゼロにすることができません。あらゆる環境変化に対応でき得る体制を作っておくことが重要だと思います。

であれば、投資に関してはせめて保有資産の現金・債券の比率を高めてリスク(ボラティリティ)が低いポートフォリオで資産運用するとか、勤務先の社員持株会などリスクの集中になるような運用を避けなど、ベストでなくてもベターなもの(よりマシなもの)は何かという選択を重ねていくことしかないのではないでしょうか。

世界中の人たちが溺れても、うまくやれば自分だけは助かるというのは、平時の妄想でしかないのです。え? 私は株式・債券をショートしているので、もし船が沈没してもお前たちと一緒に溺れることはないですって?

そうですか。ところで、昨今株価が上がっていて、皆誰もが資産を増やしていますが、あなたの船だけ水面下に沈没していますよ。大丈夫でしょうか。皆が溺れる時に一人だけ助かる投資戦略は、えてして皆が儲かっている時に一人だけ溺れる投資戦略であることが多いのが心配です。

卵をひとつのかごに盛らないほうがよいのではないでしょうか。

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Posted by水瀬ケンイチ