早期リタイアの実践者 その2

水瀬ケンイチ

前回の記事「早期リタイアの実践者」の続きです。

ひょんなことで見つけた、早期リタイアの実践者、W君。
その日のうちに、さっそく飲みに行く約束を取り付けました。こういう時の自分は行動が早いのです。

駅で待ち合わせたその場所に現れたのは、ボロいジーンズにロン毛の兄ちゃんでした。まさに自由人でございますって雰囲気全開です。変わったなぁと思ってしげしげと眺めていると、逆に向こうから「変わったなぁお前。」と言われてしまいました。不意をつかれて、「え?どこがよ?」と聞いたところ、「疲れたおっさんみたいだぞ」と言われてしまいました。

言われてみれば、確かに、W君と仕事をしていた頃は、こっちも茶髪だったし、メガネじゃなくてコンタクトだったし、顔ももう少し痩せていたかも知れません。なにより、仕事に燃えていて元気でした。それが、仕事も10年目になり、部下もでき、結婚し、おとなしくなってきてしまいました。向こうから見たら、こっちが変わってしまったのでしょう。

先制パンチを食らってフラっとなりつつ、飲み屋に向かいました。


聞けば、3年前に新潟の広告代理店を辞め、2年前から東京で一人暮らしをしながら、株の取引で生計を立てているとのこと。
これぞ、いわゆる「早期リタイア」です。

まず、仕事を辞めた理由を聞くと、「上層部がアホ過ぎるから」と一刀両断です。もともと、大きくない彼の会社の中で、彼が中心的な役回りをずっと担ってきましたから、それもわかるような気がします。
転職しないのかと聞くと、ある理由から、もう会社で働く気はないと言います。具体的な理由は伏せさせていただきますが、要は夢の実現ため、それに専念するためとのこと。

素晴らしい勇気と、あっぱれな決断力です。

そして、肝心要の生活手段については、株の取引のみだと言います。バイトすらやってないそうです。
投資スタイルを聞き出そうとしても、なかなか教えてくれません。そりゃそうです。本当に儲かっている人は、好き好んでその手段を他人に教えたりしないものです。
いろいろ話をしながら、ちょいちょい出てきた話をまとめると以下のような感じでした。

・日本株のみに投資。
・長期投資。取引は1ヶ月1回あるかないか。
・売買はヘラクレス、マザーズ等の新興市場のみ。
・個別銘柄数銘柄に集中投資。
・現物のみ。
・証券会社は野村證券のみ。
・特定のテクニカル分析やファンダメンタル分析の手段は持たず。チャートの山を見てなんとなく判断。
・IPO申し込み経験なし。
・資金数百万円か(話しっぷりから予想)

マジっすか!?もう投資理論など完全無視ですよ。
アセットアロケーション、期待リターンとリスクの関係、取引コスト……教科書的には突っ込みどころ満載ですが、しかし、この手法で現に彼は、もう2年ものびのびと早期リタイア生活をしているのです。そして、僕は世界分散投資だとか格好いいことを言いながら、未だストレスだらけの会社勤めを抜け出せていません。この現実を前に、僕は何も言い返せませんでした。
彼は言いました。
「おれは会社を辞めて人に優しくなれた。今、ストレスはないな」

どうやら僕は、彼からもっと学ぶべきことがあるようです。
彼の話は、またおいおいしたいと思います。今日はここまで。
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Posted by水瀬ケンイチ