銀行で投資する人って、投資の勉強しているんですか?(前編)

水瀬ケンイチ

(手違いで消えてしまった11/12の記事を、思い出しながら&少し加筆しながら書いております)

いきなり挑発的なタイトルで気を悪くされた方、申し訳ございません。投資をしている仲間として、銀行で投資されている方、これから銀行で投資を始めようとお考えの方を本気で心配しております。ひとこと言わせてください。以下は、11/12のNIKKEI NETのニュースです。

【NIKKEI NETの記事(2005.11.12)より引用】
4大銀の個人向け投資商品販売11兆円超・9月末残高
 東京三菱銀行や三井住友銀行など大手銀行が、株式や外国為替相場の動き次第で利回りが変動する個人向け投資商品の販売を伸ばしている。投資信託、個人年金保険、外貨預金を合わせた9月末の残高は大手4行合計で約11兆400億円と、半年前に比べて8.6%増えた。景気回復や堅調な株価を背景に、中高年層を中心に年金保険などへの投資を増やす個人が増えている。
 今年4月に普通預金を含むペイオフ(預金などの払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)が全面解禁となり、金融機関が破綻した場合は普通預金も元本などが必ずしも保全されないようになった。超低金利が長引き、預金より高い利回りを期待できる商品に投資する人が増えている。 (07:01)
【引用終わり】

4大銀行の投資信託、個人年金保険、外貨預金が、中高年層を中心に売れているそうです。僕はこの状況を非常に危惧しております。なぜなら……


銀行の投資商品には良いものがないからです
一口に銀行と言ってもたくさんありますので、一部の地銀のように良心的な商品を提供している例外がなくはないのですが、少なくとも上記記事の4大銀行には、ろくなものがないのが現実です。

まず、投資信託は、購入する金融機関によって販売手数料が違うという事実をご存知でしょうか?
同じ投資信託でありながら、販売手数料なし(ノーロード)で購入できる金融機関がある一方、銀行では多額の販売手数料がかかったりします。実際の事例を見てみましょう。(事例は、2005年11月15日現在、各社ホームページより作成)

【事例1】 グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)の場合
中高年に人気No.1の外国債券投資信託です。毎月分配であることが受けているようです。この投資信託を銀行で購入された方も多いのではないでしょうか。

三井住友銀行:販売手数料 1億円未満 1.575% 1億円以上 1.05%
コスモ証券:販売手数料 なし

仮に500万円分、この投資信託を購入するとします。三井住友銀行で購入すると、販売手数料として、7万8750円も取られてしまいます。一方、コスモ証券で購入すれば、販売手数料は0円です。三井住友銀行で購入しなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?

【事例2】 ニッセイ/パトナム・インカムオープンの場合
中高年の方の話題ということで、もう一本、債券の投資信託です。こちらは四半期分配の外国債券投資信託です。
みずほ銀行:販売手数料 1,000万口未満 2.625% 1,000万口以上5億口未満 1.575% 5億口以上 1.05%
Eトレード証券:販売手数料 なし

仮に500万円分、この投資信託を購入するとします。みずほ銀行で購入すると、販売手数料として、13万1250円も取られてしまいます。一方、Eトレード証券で購入すれば、販売手数料は0円です。みずほ銀行で購入しなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?
また余談ですが、ひとつの投資信託に5億円以上突っ込める人が、世の中にどれだけいるのでしょうか?みずほ銀行の「5億口以上」というカテゴリ設定は意味がないだけでなく、みずほ銀行(だけでなく他の銀行でもよく見ます)の個人投資家軽視の姿勢が滲み出ていると言われても仕方がないと思います。

【事例3】 株式インデックスファンド225の場合
株式投資の基本とも言える、日本株式インデックスファンドです。

みずほ銀行:販売手数料 2.10%
Eトレード証券:販売手数料 なし

仮に500万円分、この投資信託を購入するとします。みずほ銀行で購入すると、販売手数料として、10万5000円も取られてしまいます。一方、Eトレード証券で購入すれば、販売手数料は0円です。みずほ銀行で購入しなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?

【事例4】 DKA 株式オープンの場合
日本株式アクティブファンドです。僕が大好きなインデックスファンドではありませんが、信託報酬が低く、設定されてから30年近い老舗の投資信託です。途中償還されてしまう投資信託が多い中、流行廃りに流されず、30年も生き残っているのは立派だと思います。

みずほ銀行:販売手数料 2.10%
Eトレード証券:販売手数料 なし

仮に500万円分、この投資信託を購入するとします。みずほ銀行で購入すると、販売手数料として、10万5000円も取られてしまいます。一方、Eトレード証券で購入すれば、販売手数料は0円です。みずほ銀行で購入しなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?

【事例5】 ステート・ストリート外国株式インデックス・オープンの場合
低コストの世界株式インデックスファンドです。世界株式インデックスファンドは選択肢が少なく(何故かことごとく途中償還してしまいます)、とても貴重な投資信託です。

三井住友銀行:販売手数料 1,000万円未満 2.10% 1億円未満 1.05% 1億円以上 0.525%
楽天証券:販売手数料 なし

仮に500万円分、この投資信託を購入するとします。三井住友銀行で購入すると、販売手数料として、10万5000円も取られてしまいます。一方、楽天証券で購入すれば、販売手数料は0円です。三井住友銀行で購入しなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?

【事例6】 メロン グローバルバランスの場合
最後に、国内外の株式・債券に投資する、バランスファンドです。

東京三菱銀行:販売手数料 100万円未満:3.150% 100万円以上1,000万円未満:2.625% 1,000万円以上3,000万円未満:2.100% 3,000万円以上:1.575%
カブドットコム証券:販売手数料 なし

ここで興味深いのは、東京三菱銀行もカブドットコム証券も、同じ三菱UFJフィナンシャル・グループの金融機関であるということです。同じグループ内でさえ、販売手数料が大きく違うのです。もし、東京三菱銀行のコールセンターに「同じグループ内の会社で販売手数料が大きく違うのですが、どうしてですか?」と聞いたら、どう答えてくれるのかちょっと見ものです。

【事例7】 ……しつこいって?(笑)
もうお分かりだと思いますが、銀行で投資信託を購入する経済的合理性はどこにもありません。それどころか、銀行は投資家の無知につけこみ、高い販売手数料を搾取していると言ったら言い過ぎでしょうか。
もちろん、欲しい投資信託がその銀行にしかない等、積極的に銀行を選択しているのであれば何も申し上げることはありません。しかし、ただ何となく、身近だったから、定期預金とセットで買えば金利優遇キャンペーンがあったから(金利優遇など餌ですよ!)というような理由で、銀行で投資を始めてしまった方、これから始めようという方は、購入金融機関について十分に比較検討されることをおすすめします。その際は、ネット証券会社を比較検討対象に加えるのを忘れないでください。インターネットを使えば、それはさほど難しいことではないはずです。

(追記)
……と書いて記事をアップしたところ、「中高年の方でインターネットを使いこなせない(使えない)人も多いのではないでしょうか。なので比較する術を持たない人も多いと思います。」というご意見をいただきました。
たしかにそのとおりです。うちの親もネットを全く使いこなせていません。そういう方は、本で調べるなり、詳しい友人に聞くなり、信頼のおけるFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談するなりして、比較検討をした方がよいと思います。とにかく、銀行が投資家の無知につけこむ戦略を取っている以上、銀行が勧めるとおりに投資信託を購入するのだけは避けるべきだと思います。
経験上、良い商品が向こうからやってくる事はありませんでした。良いものを手に入れるためには何らかひと手間がどうしても必要なのではないでしょうか。

<参考>今回取り上げたネット証券会社は以下から口座開設できます。
(会社名をクリックしてください)
コスモ証券
E*トレード証券
楽天証券
カブドットコム証券
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Posted by水瀬ケンイチ