日本のETF事情がよくまとまっている記事と個人的感想 (その2)

水瀬ケンイチ

前回の記事、日本のETF事情がよくまとまっている記事と個人的感想 (その1)の続きです。
長文記事なので、いくつかのパラグラフに分けて引用し、コメントを書きたいと思います。

<流動性が課題>

 ETFを提供する金融機関側は投資家ニーズが大きいとみるが、市場の拡大には課題もある。業種別ETFの上場に関わった野村証券投資戦略マーケティング部ストラテジー・コンサルティング一課の松田直之課長代理によると「業種別ETFの開発はもともと機関投資家のニーズを踏まえてスタートした」。ETFは機動性が高く、空売りなども可能で「投資家がマーケットリスクを排除して業種間の強弱をとっていける」(松田氏)ほか、金融法人が投資制限などで個別株に投資できない場合もETFを通じて特定業種への投資が可能で使い勝手がいいという。

 日興アセットも「低コストで透明性が高く、リアルタイムで取り引きできることが個人にも機関投資家にもメリットで、様々な使い方が考えられる」(有賀潤一郎・商品企画部副部長)とみる。既存の日本株ETFは「世界に分散投資する海外の運用会社が先物代わりに使っている」(有賀氏)例もあり、今後は新興国の株価連動型ETFなどを提供し、海外に分散する投資ツールとして国内投資家の需要を掘り起こす考え。

 投資家サイドからは「業種別ETFは使いたい」(国内大手生保の資産運用担当者)との指摘や「水など特定のテーマに注目した指数に連動するものなら興味はある」(邦銀)との声もあるが、「機関投資家にとっては流動性の高さと低コストが重要で、両方の条件が揃わなければ使わない」(大手邦銀の株式投資部長)と慎重な向きもあり、今後は流動性の確保が課題となる。


前述したとおり、ニッチなETFしか出していない中で、流動化云々をもっともらしく懸念する金融業界は、個人投資家から見るとどうかと思います。
東証さんをはじめ関係者の方々には、もっと個人投資家のほうを見て仕事をしてほしいと思います。

さらに情けないのは、「もともと機関投資家のニーズを踏まえてスタートした」という業種別ETF17種類が、実際にはお粗末な出来高しかないという事実です。
機関投資家にすら相手にされてない…(ため息)
(出典:株をはじめる前に読むブログ「あの人は今~東証規模別・業種別ETFのその後」)





 また、個人は一般的な投信と違ってどこの証券会社でもETFを売買できるが「証券会社はETFより手数料が高い公募投信の販売に注力しており、ETFを積極的に勧めない」(業界関係者)のがボトルネック。運用会社も「当面はネット証券経由の売買が中心になる見通しで、すそ野の拡大には啓蒙活動が必要」(日興・有賀氏)と認識している。ただ、「分配型の公募投信を好む高齢者層がETFに飛びつくとは考えにくく、個人に浸透するには時間がかかる」(外資系運用会社)との見方が優勢だ。


この金融業界都合の「ボトルネック」が、ETFを含めたインデックス商品の最大の難関だと思います。
「すそ野の拡大には啓蒙活動が必要」と仰る日興の有賀氏は立派ですが、実際には、日興グループがETFを大々的にPRすることは、今までもそしてこれからもないんだろうなぁというのが僕の予想です。
これはある意味仕方のないことだという面もあると思います。
金融機関は慈善団体ではないので、利幅の取れるものにPRが集中するのは、当然の企業行動とも言えます。

これまで書いてきたように金融機関側にも問題はあるのですが、「分配型の公募投信を好む高齢者層がETFに飛びつくとは考えにくく、個人に浸透するには時間がかかる」という外資系運用会社さんの鋭い指摘があるとおり、日本では個人投資家の側にも問題があるような気がします。
僕ごときが偉そうに言えることではないのですが、日本ではまだ個人投資家の金融リテラシーが低いという問題があるような気がしてなりません。

個人の財産形成・資産運用には、「基本形」があるはずです。
それは、業種別ETFでも商品連動型ETFでもなく、国内外の年金基金が行なっているような、アセットアロケーションによる国内外の株式・債券への分散投資です。
もちろん、基本形を押さえた上での「発展型」として、個別株や業種別ETFや商品連動型ETF、出口戦略としての毎月分配型投信なども存在意義はあると思います。
でも、この「基本形」があまりにも知られていないと思うのです。

ETFは、「基本形」を実現するための優れたツールになるはずです。
企業というものは、顧客のニーズがあれば普通はそれに応えていくものです。
たとえ大々的にPRされることはなくても、僕たち個人投資家側がまず「基本形」を学び、かくれた優良インデックス商品を賢く活用し、更なる改善を直接金融機関に求めていけば、日本のインデックス商品の環境も、欧米と同じレベルに少しは近づいていくのではないでしょうか。

(おわり)
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Posted by水瀬ケンイチ