年金基金の商品インデックス・ファンドの買い持ちはイイかどうか

水瀬ケンイチ

米国が年金基金の商品インデックス・ファンドの買い持ちは投機かどうかで盛り上がっているようです。

【ヘッジファンドクルーク 2008/06/20より引用】
年金基金の商品インデックス・ファンドの買い持ちは投機か―業界で議論激化
ウォールストリート・ジャーナルは19日付の電子版で、原油や農産物などの商品価格が急騰する中で、年金基金などの機関投資家によるインデックス・ファンドの長期投資(買い持ち)が投機にあたるかどうかという議論が高まっている、と報じている。

折しも、上院の国土安全保障政府問題委員会のジョー・リーバーマン委員長と委員のスーザン・コリンズ議員が18日、商品価格の高騰を抑制するため、機関投資家によるインデックス・ファンド(商品指数連動型ファンド)投資を「過剰な投機」と見なして抑制する法案を記者発表し、投機をめぐる議論が活発化している。

同法案の火付け役になったのは、ヘッジファンド・マネージャーのマイケル・マスターズ氏の議会証言だった。同氏は先月、同委員会の公聴会で、年金基金などの機関投資家を「インデックス投機筋」と呼び、機関投資家のインデックス・ファンドの買い持ち戦略それ自体が投機だと断定している。

これに対して、年金基金業界は猛反発している。インデックス・ファンド投資は、機関投資家がインフレヘッジ目的で伝統的に利用している。それだけに年金基金側は、投機で有名な投資家ジョゼフ・ケネディやジェシー・リバモアの両氏と同列に扱われ、価格吊り上げに加担していると思われるのは心外として憤慨している。

米国最大の年金基金で、11億ドルのインデックス・ファンド投資を行っているカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)の広報担当のパット・マクト氏は、「我々は投機には関与していない。インデックス・ファンド投資も長期のスパンでとらえている」と話す。

年金基金を弁護する見方もある。英投資銀行バークレイズ・キャピタルの商品市場調査部門の責任者、ポール・ホースネル氏は、「年金基金は、インデックス・ファンドをポートフォリオの一部として見ており、商品投資が投資全体の5-10%を超えることはない」と指摘している。
【引用おわり】

何をもって「投機」と呼ぶかはそれだけでひと議論になるので、ここでは投機という言葉にこだわらず、「年金基金の商品インデックス・ファンドの買い持ちはイイかどうか」と置き換えて、考えてみたいと思います。



結論から書くと、「年金基金かどうかに関わらず、商品インデックス・ファンドの買い持ちはよくない」と思います。
なぜなら、商品という資産クラスは、長期保有していれば価値が上がっていく本質的性質を持っていないため、買い持ちに向かないと考えるからです。

株式には、持っているだけで、配当などのキャッシュフローがあります。同様に債券には、持っているだけで、利息などのキャッシュフローがあります。長期保有していれば価値が上がっていく本質的性質を持っていると言えます。
一方、原油や大豆などの商品には、持っているだけでは何もキャッシュフローがありません。長期保有していれば価値が上がっていく本質的性質を持たないと言えると思います。

一見、右肩上がりに上昇を続けているように見える商品市場ですが、商品価格の騰落を引き起こしているのは、需要と供給のバランスだけです。
そういう市場の全体のリターンの合計はゼロであり、いわゆる「ゼロサムゲーム」になります。誰かの儲けは誰かの損失というわけです。

まあ、タイミングを見てうまく売買すれば、儲けを出すことも出来るのでしょうから、商品インデックスファンドの存在自体を否定するつもりはまったくありません。
そういう意味では、上手いファンドマネージャーがアクティブに売買する戦略であれば、儲け続けることも出来るかもしれません。
しかしながら、「買い持ち」戦略では、儲け続けることが出来るとは思えないのです。

余談になりますが、よく、相関係数の低い資産クラスをポートフォリオに入れると分散効果でポートフォリオ全体のリスクを下げることが出来るから、商品クラスを入れるとよいという販売用パンフレットの説明を目にします。
でも、個人的には、長期保有によって価値が上がっていく本質的性質を持つ資産クラスの中で分散すればいいのであって、それが商品クラスである必然性はないと考えています。


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2006/11/11 インデックス投資派の僕がコモディティインデックスに投資しない理由(その1)
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Posted by水瀬ケンイチ