金融危機 分散投資の有効性は?

水瀬ケンイチ

今日の日経新聞に、分散投資の有効性に関する良記事があったので、メモしておきたいと思います。
※長文になります。

【日経新聞 2008/10/20朝刊より引用】
金融危機 分散投資の有効性は?

国内外の株式や債券へ幅広く分散すれば、リスクを抑えながら資産を増やせる――。そんな“常識”が今回の金融危機では揺らいだ。あらゆる国の株式が大幅に下落し、一時は安全資産とされた国債まで売り込まれる場面もあったからだ。様々なデータで分散投資が本当に有効かどうかを探ってみた。

(中略)

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(クリックでグラフ拡大)

 次に日本株と日本債券、外国株と外国債券の四資産に分散投資した場合の結果をみよう(2008年は株価が急落した10月10日まで)。
 グラフBのように日本株だけの投資は年により変動が大きい。90年は約38%、08年は10日までで46%も下げた。
 四資産分散はどうか。グラフCのように単年度では下落の年が6年。「分散なら単年度でも下がらない」と思うのは過剰期待だと分かる。ただ下落率は日本株よりかなり縮小、今回も約26%だ。
 分散の効果が大きくなるのは長期投資と組み合わせた場合。四資産分散で10年間保有すると、どの年までの10年間でも、マイナスになることはなかった(グラフD)。08年を除くと、平均では年率約6.6%で資産は増え、10年で1.9倍になった。
 調査会社のイボットソン・アソシエイツ・ジャパンによると、対象期間を1970年代からとより長期にしても、10年保有ではほぼ同様の年率5-10%程度のリターンだったという。
 ただし10年保有でも今月10日の下落局面までに限ると、年率平均1.2%の小幅な上昇にとどまり、今回の暴落の大きさが分かる。ただそれほどの事態でもマイナスではなく、グラフにはないが10年の累計で資産は12%増えていた。
 一方で、日本株だけの保有なら10年保有でも10日までで14%の下落。相対的には有利だったともいえる。リスクを抑えながら資産を増やす有効な手段が他に見つけにくいなか「一時的な状況だけで分散の効果を否定しない方がいい」(木戸氏)との声が聞かれた。

【引用おわり】


個人的にポイントだと思うのは以下の二点です。

・「分散なら単年度でも下がらない」と思うのは過剰期待
・一時的な状況だけで分散の効果を否定しない方がいい

インデックス投資家のなかにも、「分散投資なら単年度でも下がらない」と思い込んでいて、相場下落局面のたびに「分散効果がなかった」と言い出すかたがいます。
でも、長く投資をしていれば、ある一時点で全アセットクラスが一斉に下がることがあっても何ら不思議ではありません。
一銘柄のみを保有しているよりも値動きがマイルドだったら、値上がり・値下がりにかかわらず、それが分散効果だと思われます。

また、「最近はアセットクラス間の相関が高まったので分散効果がなくなった」と言うかたもいます。
アセットクラスの相関が高まったかどうかは、1~2年程度で結論付けられるものではないと考えます。ましてや、1~2か月の値動きを見て相関が高まったと結論付けるのは性急すぎると思います。
仮に、本当に相関が高まったとしても、相関係数がキレイに1でない限り、分散効果がないということはないと思います。

平均分散アプローチによるリスク低減効果は、マーコビッツがノーベル賞を受賞した理論で、いまでも実用性があると考えられています。
ただし、各アセットクラス間の相関係数は時とともに変動しているようですので、ある時点の相関関係がずっと有効であると考えるのも問題はありそうです。
とはいえ、「分散効果がなくなった」というのは、よほどのこと(すべての投資対象の相関係数が1から動かないとか、北斗の拳の世界になるとか)がない限り、間違っていると思います。

この新聞記事のよいところは、分散投資にとって都合が良い検証期間だけを切り取って論じているのではなく、直近10月の大暴落までデータに含んで論じているところだと思います。
10年単位で見れば、たとえ今年10月の大暴落まで含めて計算したとしても、分散投資は有効という結論が出てくるのが興味深かったです。

ご興味のあるかたは、ぜひご一読ください。
図書館に行けば、日経新聞のバックナンバーは読めると思います。
長文失礼しました。


※投資判断は自己責任でお願いしますね。
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Posted by水瀬ケンイチ